「蜂の巣を見つけたけど、これってアシナガバチの巣かな?」
「アシナガバチの巣は自分で駆除できるらしいけど、本当に?」
家の周りに巣ができて、大きな蜂が飛んでいると落ち着いて生活ができませんよね。
アシナガバチの巣は、灰色っぽいシャワーヘッドのような形、お椀をひっくり返した形とよくいわれます。
そのためもし見つけた巣がトックリ型か球体型、ハチミツが蓄えられた板状の場合、アシナガバチの巣ではありません。
危険なスズメバチの巣の可能性もあるため、蜂駆除を考えているならこの記事で確実に見分けましょう。
そこで記事では、アシナガバチの巣の特徴やアシナガバチの駆除・予防方法についてご紹介します。
この記事を読むだけでアシナガバチの巣を見分けられるのはもちろん、手軽な駆除方法や再発防止策もわかります。
自宅に蜂の巣ができてお困りなら、ぜひ蜂駆除に役立ててください。
アシナガバチの巣の3つの特徴

- アシナガバチの巣はお椀型
- アシナガバチは4〜5月頃に巣を作る
- アシナガバチはよく軒先などに巣を作る
4~5月に庭木や軒先にお椀型の巣を見つけたら、アシナガバチの巣でしょう。
また同じ時期のトックリ型やハチミツを蓄えた巣は、スズメバチやミツバチの巣です。
では写真やイラストを交えて詳細を解説します。
アシナガバチの巣はお椀型

アシナガバチの巣はお椀を伏せたような形、シャワーヘッドのような形とよくいわれます。
巣の材料は木の皮や草木などの繊維で、成虫が噛み砕いて唾液と混ぜて巣を作ります。
そのためアシナガバチの巣は、茶色っぽい紙細工のような質感です。
穴が露出しており、中をのぞくと幼虫や卵が確認できます。
蜂の巣は蜂の種類によって形が大きく異なるため、蜂を見分ける際は巣の形を見るとわかりやすいでしょう。
今回は比較として、スズメバチとミツバチもあわせて確認しましょう。
スズメバチの巣との違い
アシナガバチの他に被害の多い、スズメバチとミツバチの巣を解説します。
スズメバチの巣は初期とそれ以降で形が異なります。
スズメバチの巣は、初期はトックリ型の巣ですが大きくなると球体型の巣になります。※
アシナガバチ同様にスズメバチも、雨風が当たらない場所に巣を作ります。
※キイロスズメバチなど種類によっては初期から丸い巣を作る蜂もいます。
ミツバチの巣との違い
ミツバチの巣は平たい板状の巣が幾重にも重なった形をしており、壁の中や木のうろなど閉鎖空間で見つかることが多いでしょう。
ミツバチの巣の特徴は、ハチミツが蓄えられている点です。
アシナガバチとスズメバチはハチミツを蓄える習性がないため、巣を覗いてもハチミツはありません。
もし巣の形を見てアシナガバチではないとわかったら、それぞれの蜂に適した対応をおこないましょう。
関連記事では、より詳細に蜂の種類を見分ける方法が記載されています。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。
アシナガバチは4〜5月頃に巣を作る

アシナガバチは春先(4〜5月頃)に巣を作ります。
アシナガバチの生活史と巣の大きさは以下のとおりです。
- ~5月頃
-
冬眠から目覚めた女王蜂が単独で巣作りを開始する。
初期のアシナガバチの巣は、直径4〜5cmほど。 - 6~8月頃
-
攻撃的な働き蜂が増えて危険度が上がる。
巣の大きさは10〜20cmほどになる。 - 9~10月頃
-
雄蜂と新女王蜂が繁殖活動をする。
寒くなると活動が鈍くなり、巣が大きくなることはない。 - 11月頃~
-
新女王蜂が越冬に入る。
女王蜂以外は死んで巣は空っぽになり、以後使われない。
蜂は巣が大きいほど中にいる蜂が増えて、危険性も高まります。
春先の小さな巣であれば蜂の数も少ないですが、夏の20cmを超える巣だと数十匹の働き蜂がいることでしょう。
万が一春先であっても大きな巣を見つけたら、巣の中にたくさんの蜂がいることが予測されるためむやみに近づくのはやめましょう。
アシナガバチはよく軒先などに巣を作る
アシナガバチは雨風をしのげて、日当たりや風通しがいい開放的な場所に巣を作ります。
高さは地面から1.5mほどの位置を好むため、軒先やベランダなどでよく見かけます。
他にはイラストのような場所によく作られています。

アシナガバチの巣を探す際は、イラストのような場所を探しましょう。
また、アシナガバチは室外機の中など見つかりづらい場所に巣を作るケースがあります。

※写真は室外機の中に作られたアシナガバチの巣
どうしても巣が見つからない場合は、蜂駆除業者に相談し調査してもらいましょう。
アシナガバチの巣の特徴を解説しました。
アシナガバチはスズメバチほど凶暴ではないものの、状況によっては駆除が必要です。
次の章で詳しく解説します。
駆除が必要なアシナガバチの巣
「アシナガバチの巣を見つけたけど駆除すべき?」と悩みますよね。
人が刺される危険があるなら、アシナガバチの巣を撤去しましょう。
- 人通りが多い場所に作られた巣
- 春先~秋に見つけた巣
アシナガバチはスズメバチに比べるとおとなしい蜂ですが、刺激すると襲われる可能性があります。
例えば車や人が通り騒がしい場所、生垣の中で子供が触れる危険のある場所は要注意です。
また春に見つけた巣は、見つけ次第撤去をおすすめします。
アシナガバチの巣は春先にできて、秋に向けてどんどん大きくなります。
春先のアシナガバチの巣を放置すると危険性が高まるため、早めに対応しましょう。
もし春先~秋に見つけた人通りの多い場所にある巣であれば、早めに撤去をおこないましょう。
危険性の低いアシナガバチの巣であれば、無理に駆除する必要はありません。
- 人があまり来ない場所や建物に作られた巣
- 冬に見つけた空っぽの巣
アシナガバチはスズメバチと比べるとおとなしく、刺激しない限り襲われることはまずありません。
またアシナガバチはイモムシやケムシを食べる益虫のため、自治体によっては保護を呼びかけていることもあります。
冬になればアシナガバチはいなくなるため、人が刺される心配がなければ放置するのもよいでしょう。
アシナガバチの巣は条件によっては自分で駆除ができます。
次の章でアシナガバチを駆除する手順を解説します。
アシナガバチを自分で駆除する手順
小さなアシナガバチの巣であれば、自力で駆除ができます。
ただし自力での駆除には条件があり、安全に駆除するための条件は次のとおりです。
- 4~5月頃に見つけた蜂の巣
- 直径が5cm以下の蜂の巣
- すぐに逃げられる開放的な場所に作られた蜂の巣
春先の小さなアシナガバチの巣であれば、蜂の数が少ないため簡単に駆除ができます。
具体的な駆除手順を頭に入れて、作業にのぞみましょう。
- 防護服、殺虫スプレー、懐中電灯、新聞紙やトングを用意する
- 日没後に巣に殺虫スプレーをかける
- 翌朝にアシナガバチの巣を撤去する
- 殺虫スプレーで再発防止をする
アシナガバチ駆除の時間帯は夜です。
アシナガバチは夜になると動きが鈍くなるため、夜間であれば安全に駆除がしやすくなります。
またアシナガバチの巣は中央ほど穴が深く、外側ほど穴が浅くなっています。
巣の奥までしっかりと殺虫スプレーを噴射しましょう。
アシナガバチの巣は秋に向かってどんどん大きくなるため、自力駆除ができる小さいうちに早めに駆除をしましょう。
関連記事により詳細な駆除方法や必要な道具の詳細が記載されているため、こちらもご確認ください。
しかし「もう夏で自力駆除するには大きすぎる」「自分で蜂駆除をおこなうなんてムリ」という場合は、蜂駆除を依頼しましょう。
民間・行政の相談先を解説します。
アシナガバチに困ったときの相談先
「アシナガバチ駆除をしてほしい!」「駆除してよいのか迷っている……」という方に向けて、アシナガバチ駆除の相談先を紹介します。
- 行政機関
-
市役所や役場などの行政機関では、蜂駆除の相談を受け付けていることがあります。
駆除の相談はもちろん、見守りの相談などのアドバイスもくれるでしょう。
ただし対応は自治体によって異なり、アシナガバチ駆除に積極的でない自治体もあるため確認が必要です。
お住まいの地域の行政機関のホームページで確認ができるため、まずは確かめてみましょう。 - 集合住宅の管理者
-
アパートやマンションにお住まいの方は、まずは大家さんや管理会社に相談してください。
建物の管理は管理者がおこなっているため、共用場所の蜂駆除は相談できます。
また居住スペースの蜂駆除は、状況によっては外壁をはがしたり、隣室を調査したりと個人では難しいことがあります。
まずは管理者に相談し、今後の対応を相談しましょう。
上記の相談先は、無料で駆除が依頼できるかもしれません。
ただし各自治体・お住まいの賃貸住宅の制度や契約状況によるため、まずは行政や管理者にご相談ください。
しかし「市役所に相談したが対象外だった」「管理会社に自分で対応するようにといわれた」というケースもあります。
そのような場合、地元の蜂駆除業者や害虫駆除業者が蜂駆除に対応しているため相談してください。
今すぐ駆除をご希望の方は、ぜひ当サイトのハチ110番にご相談ください。
ハチ110番では全国にある加盟店のなかから、すぐに駆けつけられるお近くの蜂駆除業者をご紹介します。
ご相談は24時間365日全国対応の無料相談窓口にて受け付けています。
電話だけでなくメールやLINEでも相談可能なため、いつでもお気軽にご連絡ください。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積もりに費用をいただく場合がございます。
アシナガバチに巣作りをさせない予防方法
アシナガバチは増えてからでは駆除が大変なので、巣を作らせないのが重要です。
アシナガバチの巣の予防は、時期によって方法を変えると安全なので紹介します。
春は巣を作り始める女王蜂を捕獲、夏頃なら近くにできた巣の働き蜂を寄せ付けないようにしていきます。
具体的に必要な道具や時期を解説します。
春はトラップで女王蜂を捕獲する

春(4〜5月)頃に予防するなら、蜂トラップで女王蜂を捕獲しましょう。
蜂トラップは吊るしておくだけで誘引剤が蜂を引き寄せ、捕獲する道具です。
巣作りする場所を探して飛んでいる女王蜂を捕獲することで、アシナガバチの巣作りを予防できます。
過去に蜂の巣を作られことがある方は、巣を作られた付近に蜂トラップを仕掛けておきましょう。
蜂トラップの使用は春先だけ!
誘引剤で蜂を引き寄せて捕まえる蜂トラップですが、働き蜂が羽化した夏~秋頃の使用は危険です。
羽化した働き蜂や、近くに作られた他の巣のアシナガバチ、危険度の高いスズメバチも集まってしまう可能性があります。
蜂トラップを使用する際は、5月いっぱいまでに回収するといいでしょう。
夏は忌避剤で寄せ付けない

夏(6~7月)頃に予防するなら、木酢液か殺虫スプレーの忌避効果で予防しましょう。
木酢液は薄めて容器に入れて設置するだけで、蜂が嫌う匂いの力で予防できます。
木酢液を容器に入れて地面に置いたり、物干しざおなどに吊るしたり、場所に合わせて設置できます。
殺虫スプレーの予防は巣を駆除したあとにも有効なため、駆除後にそのまま周囲に散布してもよいでしょう。
使用する殺虫スプレーは、蜂専用の殺虫スプレーで「忌避効果がある」と記載されているものを使用してください。
関連記事に木酢液や殺虫スプレー以外の蜂よけグッズも紹介しています。
気になる方はこちらもご確認ください。
アシナガバチの巣に関するよくある質問
最後にアシナガバチの巣に関する疑問、よくある質問を紹介します。
- アシナガバチは巣を再利用するの?
- 出先でアシナガバチの巣を見つけたら?
アシナガバチは巣を再利用するの?
アシナガバチが巣を再利用することはありません。
冬に見つけたアシナガバチの巣なら、いずれ風化するため放置してもよいでしょう。
アシナガバチの寿命は1年限りで、巣の使用も1年限りです。
冬になるとアシナガバチの巣は空っぽになり、旧女王蜂や働き蜂たちは姿を消します。
新女王蜂のみ倒木など静かな場所で冬眠をおこない、春になると1から新しい巣を作り始めます。

またアシナガバチは巣が雨に負けないように、口内分泌物を塗ってメンテナンスします。
しかしアシナガバチのいなくなった巣ではメンテナンスもなくなるため、いずれ風化するでしょう。
ただしアシナガバチが巣を作った場所は、雨風が当たらず蜂にとって環境のよい場所です。
再発防止策は必要です。
出先でアシナガバチの巣を見つけたら?
出先でアシナガバチの巣を見つけたら、静かにその場を離れましょう。
アシナガバチはスズメバチほど凶暴ではないため、騒がずに身をかがめて静かにその場を離れればたいていは大丈夫です。
巣を見つけた場所が公園や山道など人通りの多い場所であれば、速やかに管理者に報告しましょう。
また野外活動で、アシナガバチやスズメバチが寄ってきそうで不安な場合は、以下を心がけてください。
- 黒い服や黒い靴など暗い服装は避ける
- 柔軟剤や香水などよい香りのするケア用品は使用しない
アシナガバチやスズメバチは黒い色を襲う習性があり、香水などのよい香りは蜂を刺激するためケア用品は使わずに黄色や白の明るい色の服装がおすすめです。
またアシナガバチはスズメバチと比べて毒性が低く、おとなしいといわれていますが、それでも刺されると蜂毒アレルギーによる発作が起きる可能性があります。
過剰におそれる必要はありませんが、アシナガバチの巣を見つけたら刺激しないようにしましょう。
まとめ
アシナガバチの巣の特徴、駆除の方法や危険性をご紹介しました。
最後にこの記事の要点をまとめます。
- アシナガバチの巣は伏せたお椀のような形
- トックリ型・球体型・ハチミツがある巣はアシナガバチの巣ではない
- 巣の場所は雨風がしのげる、日当たりがよく開放的な場所に多い
- 蜂の巣の予防方法は時期や状況によって使い分ける
アシナガバチの巣は小さなものであれば自力で駆除できます。
しかし自力駆除は刺される危険性があるため、不安な方は蜂駆除業者に相談しましょう。
※文中の蜂の生態は以下を参考に作成しました。
参考:山根爽一.アシナガバチの分類と生態.2020年.
参考:八王子市環境部環境保全課|教えて『ハチ博士』
参考:横浜市泉区|アシナガバチの駆除方法
参考:東京都葛飾区|知って安心身近なハチの生態(最終閲覧日:2025年6月11日)
参考文献
小川原辰雄.人を襲うハチ 4482件の事例からの報告.山と渓谷社.2019
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専門文献や駆除業者・専門家への調査をもとに、蜂の駆除・予防法や駆除業者の選び方など様々なテーマで情報 …