「我が家の瓦屋根から雨漏りしているかも……」そう不安に思ったら業者に見てもらうことをおすすめします。
瓦屋根が劣化していくと、割れやズレが起きて修理が必要になることがあります。
この症状を放置してしまうと、割れの隙間などから雨水が浸入し、雨漏りが発生してしまうかもしれません。
対処をする前に、瓦の構造や種類を知っておくと修理時に役立つことがあるのであわせてご紹介していきます。
DIYか業者に依頼するか決めかねるときは、それぞれの施工方法や注意点を踏まえて考えていきましょう。
- 瓦屋根の構造
- 瓦屋根の修理が必要だとわかる4つの兆候
- 瓦屋根を自分で応急処置する方法
- 業者がおこなう瓦屋根の修理内容
瓦屋根の構造
屋根瓦は日本の伝統的な屋根材であり、瓦にはさまざまな種類があります。
瓦屋根の雨漏り対処をする前に、種類や特徴について知りましょう。
瓦屋根は、梁(はり)や母屋(もや)、垂木(たるき)などの土台となる木材の上に瓦を乗せていく構造になっています。
野地板の上には、防水紙(ルーフィング)を被せます。
防水紙の上には水平に木材を設置し、そこに瓦を引っ掛けて屋根を完成させていきます。
施工方法が他の屋根とは違い独特ですが、強固な屋根瓦の特徴を活かすための構造になっています。
このように丈夫な設計がメリットの1つである瓦ですが、漆喰の剥がれや瓦のずれなど経年劣化が引き金になって雨漏りすることがあります。
瓦屋根修理が必要なタイミング
明らかに被害が出ている場合は、すぐにでも瓦屋根修理が必要です。
しかし、被害が出ていない状況では何を基準に修理に取りかかればよいのでしょうか。
この章では、瓦屋根修理が必要なタイミングを中心に紹介していきます。
瓦屋根から雨漏りする原因はさまざまですが、代表的なものは4つあります。
- 瓦の割れ・浮き・ズレ
- 漆喰の剥がれ・崩れ
- ルーフィングの劣化
- 板金の劣化
これらの症状が見られたら、修理が必要な時期が来ていると考えましょう。
さらに詳しく点検したいというときは、鬼瓦部分、谷部分、軒先などにズレはないかなど、箇所ごとに分けて点検をすることになります。
点検とはいえ、高所での作業になるので無理のない程度でおこないましょう。
瓦のズレと割れの原因
瓦屋根の雨漏りでよくある原因は「瓦のズレや割れ」ですが、そもそもなぜこのような状況になってしまうのでしょうか。
主な原因は経年劣化ですが、他にもいくつかの原因があります。
- 地震などの災害や気候
-
瓦内の水分が寒さによって膨張し割れたり、台風が起きたときに飛来物が当たって瓦が割れたりすることがあります。
- 誤って瓦に乗った
-
踏んだときの負担がひび割れ・ズレに繋がることがあります。
- 昔の施工方法で作られている
-
釘を打たずに瓦を設置する方法や、気候や劣化によって膨張する鉄釘を利用していることが原因の場合もあります。
屋根修理が必要な症状が見られるにも関わらず放置してしまうと、雨漏り発生の危険性が高まります。
雨漏りを放置する危険性
雨漏りで怖いのが、家にダメージを与えるだけでなく、カビの発生によって健康面への影響も懸念されるようになることです。
他には、シロアリの発生、漏電による火災などあらゆる被害の可能性がでてきます。
雨漏りを放置すると、これ以外にもたくさんの被害に悩まされることになります。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
屋根の修理は、雨漏りを防ぐだけでなく、その他に想定されるリスクから守るための重要な工程なのです。
瓦屋根を自分で修理する方法
瓦屋根の修理をしたいと考えたときに、自分で対処するという選択肢もあります。
高所での作業になるので無理は禁物ですが、比較的簡単にできる対処もあります。
ここでは、DIYでできる修理方法や注意点をご紹介します。
瓦が割れたときのDIY修理には、「テープ、パテ、新品に交換する」という3つの方法があります。
詳しい修理方法を見ていきましょう。
- 防水テープを使った修理方法
-
- 割れた瓦を取り除く
- 水分と油分除去のために瓦を掃除する
- 防水テープを貼る(何重にも重ねて貼るとより安心)
- 瓦を元の位置に戻す
- パテを使った修理方法
-
- 割れた瓦と、取り外したときに見える下地部分の掃除をする
- 瓦の割れた面に瓦パテを塗り込む(ヘラを使って割れ目にパテを詰め込む)
- 修理した瓦の補強のためにガルバニウム鋼板で下支えを作る。瓦より少し小さめに切った鋼板を瓦の形に沿って曲げていく
- 瓦を元に戻す。形作った鋼板をはめ込み、パテを埋め込んだ瓦を乗せる(修理した瓦は壊れやすいため釘は打たない)
- 新品に交換する
-
割れた瓦を取り外し、新しい瓦をはめ込みます。
作業はシンプルですが、今使っている瓦と同じものを用意する必要があります。
廃盤になっているなどで入手が困難な場合は、テープやパテでの修理を検討します。
DIY修理時は瓦を踏む位置に注意する
自分で工事するときは、瓦を踏む位置に注意が必要です。
瓦は山と谷がある波状が一般的ですが、踏む場所によって割れてしまうことがあります。
壊れないようにするには瓦の谷部分を縦に踏むようにします。
瓦の取り外し、取り付け時に屋根に上るときは、踏む場所に注意を払わなくてはいけません。
瓦屋根工事は施工の手順が単純に見えますが、屋根の構造を熟知していないと完全な解決に至らなかったり、修理前より被害を悪化させてしまうこともあります。
そのため、瓦屋根の修理は業者に依頼することをおすすめします。
瓦屋根の修理は業者依頼がおすすめ
「DIYでの作業が不安……」「きちんと解決したい!」というときは業者による工事や補修がおすすめです。
プロは原因を究明し、被害に合わせた解決法で対処してくれるので安心できます。
この章では、業者による修理方法や業者選びのポイントを確認します。
業者がおこなう瓦屋根修理の内容
屋根の被害状況によって修理方法は異なります。
- 瓦がズレたり割れたりしていた場合
-
ズレたら直す、割れたら新しいものに交換する、という比較的簡単な修理になります。
瓦を固定したいときは、コーキングを使って瓦を固定するラバーロック工法で解決します。注意点は、間違った施工をおこなうと雨漏りを起こして、葺き替え工事をする事態になりかねないということです。
固定する施工をおこなう前はよく検討しましょう。 - 防水シートが破れていた場合
-
屋根工事を放置してしまうと、瓦の下にある防水シートにまで被害が及ぶことがあります。
防水シートにも寿命があるので、定期的な交換が必要になります。 - 板金が劣化していた場合
-
谷板金や外壁が接触する部分にある板金に穴が空いてしまった場合、まわりの瓦を外して工事します。
さらなる雨漏りの原因を作らないように、慎重に作業していきます。
防水シートの葺き替え時などのタイミングを使って、ついでに直してしまうこともあるようです。 - 漆喰が剥がれていた場合
-
漆喰は早めの工事が必要です。
棟のズレや変形の悪化を防ぐためにも、軒を解体したり、積み直したりしながら直していきます。
被害がまだ小さければ、劣化した部分のみを除いて、新しく漆喰を詰め直すといった部分修理のみで済むこともあります。
屋根を葺き直す、屋根カバー工法といった大規模な修理になるときは、瓦以外の屋根材を取り入れるなど、リフォームとしておこなうことも選択肢の1つになります。
業者選びのポイント
屋根修理を依頼する際は、最低でも下の2つのポイントを押さえるようにしましょう。
- 素早い対応をしてくれるか
-
瓦屋根から雨漏りを起こしているときは一刻も早い修理が必要です。
施工までに時間がかかると、その間に雨が降るなどして雨水が浸入する状態を維持することになります。 - 対応は親切か
-
わからないことや、気になる費用について真摯に答えてくれるかも重要です。
雨漏りの原因が風災の場合は、ご自身が加入している火災保険が適応されることもあるので、その点について尋ねるのもいいでしょう。
屋根修理費用や業者の選び方についてはこちらの記事を参考にしてください。
※1 手数料がかかる場合がございます。一部加盟店・エリアによりカードが使えない場合がございます。※2 対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
屋根瓦の種類
屋根瓦というとよく見かける灰色の瓦を想像しますが、じつは屋根瓦には大きく5つの種類があります。
以下で種類別に詳しく見ていきます。
粘土瓦
粘土瓦は、粘土質の土で形作った瓦を焼いて作られたものです。
陶器と同じく、耐久性が高くメンテナンスがいらないというメリットを持ちます。
日本瓦や和瓦と呼ばれているもので、一般的に知られる瓦屋根はこれに当てはまります。
耐久性、断熱性、防音性に優れている粘土瓦は大変種類が多く、製造過程や形の違いによってさらに細かく分類されます。
粘土瓦は製造過程の違いから、釉薬瓦と無釉薬瓦に分けられます。
この2つは釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を使っているかいないか、というのが大きな違いです。
- 釉薬瓦
-
粘土を瓦の形にしたあとに釉薬を塗ります。
ガラス質の釉薬の成分によって、色合いを出すことができるので洋風の住宅にも取り入れられています。
釉薬を塗ることで水の浸透を防げるので、長期に渡って使える屋根瓦と言われています。 - 無釉薬瓦
-
無釉薬瓦は、いぶし瓦と素焼き瓦の大きく2つに分けられます。
いぶし瓦は、釉薬を付けずに焼いたあと、むし焼きにして完成させます。
瓦の色は銀色で、お城や寺などでよく見かける屋根瓦です。
釉薬瓦と比べると、劣化しやすいと言われています。素焼瓦は土の風合いを活かした屋根瓦です。
色は赤みがかっていてナチュラルな雰囲気があります。
洋風建築で取り入れられることが多い瓦です。
粘土瓦の形による違い
粘土瓦は、形によっても種類が異なり、大きく3種類に分けられます。
- J形(和型)
-
波状の形をしているのが特徴です。
昔からよく使われている瓦の形なので、和風建築や日本の伝統的な建物で取り入れられているのをよく見かけます。 - S形(洋瓦)
-
スパニッシュ瓦とも呼ばれています。
西洋建築とともに取り入れられた波が斜めになっている瓦で、洋風の雰囲気を作り出してくれます。 - F形(平板瓦)
-
平面上の形が特徴の瓦です。
平らにすることでスッキリとした印象になるだけではなく、デザイン性の高い製品が多いので、洋風住宅でよく使われています。
金属瓦
ガルバニウム鋼板、スレート瓦などを指します。
錆びにくいガルバニウム鋼板は、近年の屋根材の主流になってきている素材です。
スレートは、天然スレートと化粧スレートに分かれます。
天然スレートは素材自体が高価なのであまり使われることはありませんが、化粧スレートは種類の豊富さ、安価という利点があるためよく使われています。
セメント瓦
石灰岩を原料に、砂や砂利を混ぜて作られています。
表面が塗料で塗装されているので、定期的なメンテナンスが必要な瓦です。
粘土瓦とは、原材料の違いはもちろん、表面に塗られているものが異なります。
形や色が豊富ですが、メリットよりデメリットが目立ってしまうので近年使われることが少なくなっています。
まとめ
- 瓦屋根に漆喰の剥がれなど、何かしらのサインが現れたら修理のタイミング
- 丈夫な瓦も経年劣化などが原因で割れたりズレたりする
- DIY対処の手順は単純なものの、高所作業の危険だけでなく、自分で瓦を壊してしまうおそれもあるので要注意
- 業者による修理は安心かつ確実
家が瓦屋根の方は、瓦の種類や構造など上記の点に注意して雨漏り修理を確実におこないましょう。