シロアリの天敵は多い！それでも全滅しない理由は特殊な生態にある

シロアリの天敵はとてもたくさんいます。

シロアリは体内に鉄分やたんぱく質を多く含んでいて栄養価が高く、敵となる生き物から好まれているからです。ペットショップなどで、エサ用に売られていることもあります。

今回は、シロアリの天敵になる生き物や、シロアリの生態をご紹介します。ただし、自然の生き物である天敵を利用してシロアリを退治するのはあまり現実的ではありません。シロアリを駆除したいなら、シロアリ駆除業者に依頼しましょう。

シロアリの天敵は何種類も生息している

シロアリの天敵は、昆虫、爬虫類、両生類、鳥類など実にさまざまです。その一部をご紹介します。

・トカゲ、ヘビ、ヤモリ
トカゲやヘビ、ヤモリなどの爬虫類は、小さな昆虫をエサにします。昆虫のなかでも特に栄養価が高いシロアリは、爬虫類の大好物です。ペットの爬虫類用のエサとして販売もされています。

・カエル
カエルも小さな昆虫をエサにします。特に栄養価の高いシロアリは貴重なエネルギー源です。ペットのカエル用のエサとして販売もされています。

・ツバメ
ツバメは巣から飛び立つ羽アリをエサにします。現在は営巣対策が施された住宅が増えたためあまり見られなくなりましたが、昔の日本家屋では、春先にツバメが軒先に巣を作り、羽アリを捕食する光景がよく見られました。

・ハエトリグモ
ハエを捕食する益虫ですが、シロアリも好物のひとつです。巣を作らずに自分からエサを獲りに行く「活動狩猟型」のクモであるため、エサであるシロアリを見つけると積極的に捕食しにいきます。

・アシダカグモ
大きくて足が長い特徴的な見た目から不快害虫といわれることも多いですが、じつはゴキブリやシロアリなどの害虫を捕食してくれる益虫です。ハエトリグモと同じ「活動狩猟型」のクモなので、シロアリを見つけると積極的に捕食しにいきます。

・アリクイ、ツチブタ
少し珍しいところだと、アリクイやツチブタがいます。アリクイは、中南米に生息する哺乳類です。アリ塚に長い舌を入れてなめるようにシロアリを食べます。ツチブタはアフリカに生息する哺乳類で、するどい嗅覚でシロアリを探しだして捕食します。どちらも動物園で見ることができます。

最大の天敵はクロアリ

ご紹介したようにシロアリの天敵になる生き物は非常にたくさんいます。そのなかで最大の敵とされるのはクロアリです。クロアリとシロアリは響きこそ似ていますが、分類ではクロアリはハチ目、シロアリはゴキブリ目となり、まったく異なる生き物です。

シロアリは木材に含まれるセルロースを主食にしていますが、クロアリは雑食でなんでも食べます。ときにはシロアリのコロニーを集団で襲い、全滅させてしまうこともあるのです。さらに、シロアリが自分よりひとまわり大きくても、軽々と持ち上げて捕食してしまいます。

天敵の多いシロアリが絶滅しない3つの理由

これだけ天敵が多いにも関わらず、シロアリが全滅しない理由はその特殊な生態にあります。この章では、大きく3つの特徴を挙げて、シロアリが全滅しない理由を解説していきます。

理由1.狙われづらい場所に生息しているため

直射日光が当たる乾燥した環境が苦手なシロアリは、日光が届かず湿度や気温が変化しにくい住宅の床下を好んで生息します。そのため、地上で生活している天敵に狙われにくいのです。特に巣を繁栄させる役割を担う女王アリや働きアリは、まず地上に現れないため、敵に襲われることはほとんどありません。

理由2.女王アリの繁殖力が高いため

シロアリの繁殖力は他の昆虫と比べても驚異的です。シロアリの女王アリは産卵のためだけに存在します。兵アリにエサを与えてもらいながら、生殖機能が衰えるまでひたすら卵を産み続けるのです。

1匹の女王アリは1日に数百個の卵を産みます。さらに、ひとつのコロニーには複数の女王アリが存在するため、1日に産み付けられる卵の総数は数千、ときに数万を超えることもあります。卵は約30～90日で孵化するので、短期間のうちに爆発的に数が増えていくのです。

理由3.女王アリが複数いるため

先ほど触れましたが、ひとつのコロニーには複数の女王アリが存在します。現在の女王アリが死んでもコロニーを存続させるためです。

シロアリの女王は「単為生殖」というオスと交尾しなくても子どもを産むことができる特殊な繁殖能力をもっています。単為生殖で生まれた子どもは、女王であるメスの血のみを引いた、純粋な女王アリ候補です。

女王アリはこの単為生殖で自分の分身になる幼虫を次々産みます。そうして生まれた幼虫は「副女王アリ」とよばれ、現在の女王アリが死ぬとその役目を引き継ぎます。そして、役目を引き継いだ副女王アリも単為生殖で自分の分身を作り続けます。このサイクルが繰り返されることで、女王アリの遺伝子は途切れることなく後世に続いていくのです。

天敵を使ったシロアリ駆除は現実的ではない

「天敵を利用すれば、業者に頼まなくてもシロアリ駆除ができるのでは？」と考える方もいますが、あまり現実的ではありません。シロアリの天敵になる生き物は自然に生息する生き物です。ペットのようにいうことを聞いてくれる生き物ではないので、自分でコントロールしてシロアリを駆除してもらうのはとても難しいです。

さらに、天敵を利用することで別の被害が発生するおそれもあります。具体的にどのような被害が考えられるのかを解説します。

天敵によって別の被害が発生することもある

シロアリ駆除で天敵を利用しようと考えたときに、まず候補に挙がるのは、身近で最も捕まえやすいクロアリです。しかし、シロアリ駆除で家にクロアリを放つと、屋内に侵入してきて人に噛みついたり、食べ物を荒らされたりするおそれがあります。さらに、電化製品のなかに侵入して配線を食いちぎってショートが起こると、漏電につながることもあり大変危険です。

このような理由から、シロアリ駆除は天敵に頼らず業者にお任せすることをおすすめします。周囲の環境や被害状況などを考慮したうえで適切な処置をおこなってくれますよ。どのような業者を選べばよいかわからないときは、シロアリ駆除業者をご紹介している弊社にお問い合わせください。全国の加盟店のなかから、お客様のご希望に沿った業者をご紹介いたします。

天敵が多くてもシロアリは住宅に発生する

「うちの近くにはシロアリの天敵がたくさんいるから大丈夫」と油断するのは禁物です。「天敵の多いシロアリが絶滅しない3つの理由」でご紹介したように、シロアリの繁殖力は驚異的です。短期間でどんどん数を増やしていくので、駆除のタイミングが少し遅くなっただけで、手に負えないほど繁殖しているおそれがあります。

繁殖力が高く次々に個体数が増えるからこそ、1匹死んでもコロニー全体のダメージは少なく済みます。シロアリは天敵だらけの環境でもしぶとく生き残ることができる生き物なのです。だからこそ、周りに天敵がたくさんいるからと油断せず、被害が発生する前に適切なシロアリ対策をおこなって予防するのが大切です。次章では効果的なシロアリ対策をご紹介します。

効果的な方法でシロアリ対策をしよう

シロアリ被害を防ぐ対策方法として、普段からできることをご紹介します。

家の周りに木材や段ボールを放置しない

シロアリの主食は木材に含まれるセルロースです。古い木材や朽ちた木材、切り株などを家の周りに放置していると、シロアリをよぶ原因になるので、早めに片付けましょう。さらに、古い段ボールも要注意です。木材パルプなどから作られる段ボールにもセルロースが含まれています。こちらも放置せず早めに片付けましょう。

こまめに住宅の湿度調節をする

シロアリは湿度が高くジメジメした環境を好みます。有限会社第一防虫センターの記事によると、特にシロアリが活発になるのは、温度が20℃～26℃で湿度60％くらいの環境とのことです。こまめに窓を開けて換気をしたり、換気扇を上手に使ったりして、家の湿度を調節しましょう。

湿気がこもりやすい床下は、調湿剤を撒いたり、床下換気扇を取り付けたりすると効果的です。

シロアリ駆除業者の点検を受ける

シロアリ駆除業者の点検を受けてみるのもおすすめです。点検のみであれば、ほとんどの業者が無料でおこなってくれます。シロアリ被害を最小限に抑えるには早期発見・駆除が何よりも大切です。まずは無料点検を利用してシロアリ被害が発生していないかどうか調べてもらいましょう。

もし被害が発生しているようなら、すみやかな駆除が必要です。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

まとめ

栄養価が高いシロアリは常にさまざまな捕食者に狙われていますが、全滅することなく現在まで子孫を残し続けています。それはシロアリの生息場所が敵に狙われにくい場所であることに加えて、異常に繁殖力が高い生態が関係しています。

女王アリが死んで子どもを残せなくなっても、副女王にすぐに代替わりができるため、コロニーを消滅させずに存続させていけるのです。

しかし、この繁殖力の高さは、人間にとっては脅威です。あっという間に数を増やして、家中の木材を食べつくしてしまいます。被害が広がる前に適切な対処をおこない、シロアリから家を守りましょう。

弊社では、シロアリの点検、駆除、予防までおこなうことができる業者をご紹介できます。ご相談は年中無休で受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。