トコジラミ駆除ガイド|症状はかゆみだけじゃない!対処&予防法
皆さんは、トコジラミについてどのようなイメージをおもちでしょうか。刺されると皮膚がかゆくなるのは、トコジラミのよく知られている被害でしょう。しかし、トコジラミの被害はそれだけではありません。
じつは、トコジラミは健康面だけでなく、宿泊施設などの経済面にも被害を及ぼしかねないのです。今回は、そんなトコジラミの生態や駆除方法をお伝えします。
▼トコジラミってどんな虫?
トコジラミの対策には、まずはどんな生態なのかを知ることが大切です。トコジラミの生態を、詳しく確認していきましょう。
・トコジラミの生態
トコジラミとは、ナンキンムシとも呼ばれる昆虫のことです。まず気になるのがトコジラミはどこにいるのか、そしてどこからやってくるのかではないでしょうか。
トコジラミの住処は、自宅の家具のすき間など、狭くて薄暗い場所です。また、家具のすき間以外にも、布団や衣類などの布や、壁にかかっている時計の裏なども住処とします。トコジラミは、こうした場所に集団で住みついて生息しているのです。
トコジラミの侵入経路は、人の荷物や衣類になります。外出先で服や鞄にくっついて自宅へと侵入するのです。また、再利用している家具などにトコジラミが住みついていることもあります。
トコジラミに対して「不衛生にしていると発生する」というイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、じつは清潔にしている住居へも構わず侵入します。トコジラミは吸血をするもととなる人や生き物のいる場所であれば、どのような環境でも生きていけるからです。
・薬剤が効かない「スーパートコジラミ」
近年、殺虫スプレーなどの薬剤でも駆除できない、生命力の強いトコジラミの存在が確認されています。それが、スーパートコジラミです。
生命体の維持のために薬剤に強くなったスーパートコジラミには、市販の駆除剤は効果がありません。こういった個体を駆除するためには、業者へ作業を依頼して、しっかり駆除してもらうことをおすすめします。
▼トコジラミに刺されたときの症状と被害
トコジラミに刺されると、さまざまな被害を受けることとなってしまいます。トコジラミが私たちの生活に与える影響を、具体的にみていきましょう
・しつこいかゆみ
なんといっても一番の被害は、トコジラミに刺されたときの皮膚のかゆみでしょう。トコジラミは、生き物の血液をエサとして生息しています。皮膚がトコジラミに刺され、吸血されるとかゆみが生じるのです。
トコジラミに刺されると、その部分がかゆくなったり、湿疹ができたりします。個人差はありますが、かなり強いかゆみを感じることもあります。こうした皮膚症状は、かゆいという不快感以外にも、かきむしることによって皮膚に跡が残ったりする場合もあります。また、かゆくて眠れないなどの被害にもつながりかねないので、注意が必要です。
・悪臭
トコジラミは、臭いによる被害ももたらします。その原因は、トコジラミの生態が関係しています。トコジラミが臭いを発生させるのは、吸血をしているときです。トコジラミは吸血をするとき、同時に肛門から悪臭を発生させます。この悪臭は、仲間へ吸血対象の存在を知らせるのが目的です。
トコジラミの臭いはカメムシと同じように独特な臭いがするといわれています。
・血糞による汚れ
トコジラミの糞は、住宅の家具や布団などを汚します。血液をエサとするトコジラミの糞は色も黒く、まるでカビのように黒い斑点状の汚れをつくります。
こうした糞の汚れは、見た目だけでなく健康面にも悪影響です。トコジラミやダニなどの糞はハウスダストとしてアレルギーを引き起こすことがあるので、注意が必要です。
・経済的な被害
トコジラミの被害は、健康への影響だけにはとどまりません。経済的な被害の出ることもあるのです。
例えば、旅館などの宿泊施設でトコジラミが発生すると、どうなるでしょうか。例として挙げられるのは、風評被害による宿泊利用者の減少です。SNSなどでトコジラミの情報が広がると、その宿泊施設の経営へも影響が出ることでしょう。
また、施設の利用者がトコジラミによる被害を受けた場合、利用者から賠償責任を問われるケースもあります。宿泊施設から自宅へ帰った後トコジラミを発見した場合、宿泊者はその発生源を「宿泊施設にトコジラミがいたから」と訴えてくるようなことがあるのです。
さらに、宿泊したときにトコジラミに刺されたことによる被害なども、宿泊者が施設を訴えるきっかけとなることがあります。このように、トコジラミによる被害は、宿泊施設の信用を失わせるようなことにもなりかねません。
▼トコジラミを駆除するには
多くの被害をもたらすおそろしいトコジラミが「うちにもいるかも!」と不安なときは、駆除するのが一番の対策方法です。ここでは、トコジラミの具体的な駆除方法を4つご紹介します。
・薬剤を使って駆除
最も一般的なのが、薬剤を使った駆除方法です。薬剤による駆除には2通りの方法があります。ひとつ目はスプレーなどでトコジラミへ直接薬剤を吹きかける方法です。ふたつ目はトコジラミの住処と思われる箇所に薬剤を吹き付けておき、そこへやってきたトコジラミに薬剤を触れさせる方法になります。
・トラップを使って駆除
トコジラミを駆除するためのトラップを使う方法もあり、寝具のマットカバーやベッドの足元に使うカップ型のトラップなどが販売されています。いずれもトコジラミが寝具のマットに入り込んだり、脚部分から這い上ってベッドへ侵入したりするのを防ぐためのグッズです。
マットカバーにはトコジラミが侵入できないくらい細かい繊維が使われているなど、どちらのグッズもトコジラミの生態にあわせて開発されたものです。こうしたグッズで物理的にトコジラミの侵入を防ぐのも、効果が期待できる方法といえるでしょう。
・熱を使って駆除
トコジラミ駆除に使用する薬剤は人体へ影響を及ぼす危険もあるので、布団や衣類への使用はしないようにしましょう。こうした肌に直接触れるものには、熱を使った駆除方法がおすすめです。洗える衣類や布団は、熱湯で洗濯をしてみましょう。衣類乾燥機の使用でも、効果があります。どちらの場合も、79℃以上のお湯または熱風で5分以上熱を加えることが必要です。
洗濯以外にも、熱を使った方法はあります。熱い蒸気で掃除するスチームクリーナーを使えば、床以外にもソファーやマットレスなどのトコジラミを駆除できます。スチームの温度が高くないとあまり効果は期待できませんが、やってみる価値はあるかもしれません。この方法は、熱や蒸気を加えると劣化するような家具には使用しないようにしましょう。
・業者に依頼
「上の3つの方法を試したけれど、まだいるみたい……。」そんなしぶといトコジラミには、プロの技術で対策するのが効果的です。駆除業者へ依頼して、プロの知識と技術での作業をお願いしてみてはいかがでしょうか。
しぶといトコジラミは、市販の薬剤でも駆除できないスーパートコジラミの可能性があります。そんな駆除の難しいケースのときも、駆除方法を心得た業者であれば、頼もしい技術でしっかりと駆除をしてくれることでしょう。
▼トコジラミの被害に遭わないようにするには
被害に遭ったことを想定してトコジラミの駆除方法を知っておくことは大切ですが、そもそも被害に遭わないようにしておくことも非常に重要です。トコジラミの発生原因を確認したうえで、具体的な予防方法を確認していきましょう。
・トコジラミが発生する原因を知ろう
かつては国内に大量に生息していたトコジラミですが、その生息数は戦後におこなわれた駆除対策により一時は減少しました。しかし、海外への行き来が頻繁におこなわれるようになったことで、海外から国内へとトコジラミが侵入するようになったのです。
また、トコジラミのしぶとい生命力も、これまで完全に駆除しきれなかった理由のひとつといえるでしょう。スーパートコジラミのように、市販の殺虫剤でも駆除できないレベルへとトコジラミ自身が生態を進化させているのです。こうして国内でも未だに大きな被害を及ぼすトコジラミは、住処を求めて住宅へと侵入します。
・トコジラミを予防する2つの方法
人の衣類や持ち物に付着して家の中へと入ってくるトコジラミは、2つの予防法を実践することである程度は侵入を防ぐことができます。
まずは、防虫剤や虫よけスプレーを使用するという方法です。こういった虫の嫌がるものを荷物に入れたり衣類へ吹きかけたりしておけば、トコジラミの付着を防ぐことができます。ここで、「付着するならトコジラミを払い落とせばいい」と思われるかもしれませんが、トコジラミを目で確認するのは、人の視覚では困難です。そのため、付着すること自体を阻止していくことが大切となります。
ふたつ目の方法は、家具などからのトコジラミの侵入を防ぐ方法です。アンティークなどの中古の家具には、その家具自体にトコジラミが住み着いている場合があります。こうした家具からの侵入を防ぐには、搬入する家具は徹底的に掃除する、トコジラミの住処になるような中古家具の購入は避けるなどの方法が挙げられます。
▼トコジラミの徹底駆除は業者依頼がおすすめ
「とにかく徹底的にトコジラミを駆除したい!」そんな方は、業者へ駆除を依頼するのがおすすめです。ここからは、業者に依頼することのメリットや、放置した場合に考えられる事態についてもお伝えします。
・業者に駆除を依頼する理由
トコジラミは、繁殖するスピードが非常に速い害虫です。そのようなトコジラミを市販の薬剤で駆除した場合、一時的に繁殖を抑えることはできたとしても、ある程度の期間が経つとトコジラミは再び増殖します。つまり、自分で駆除をする場合は定期的な駆除が必要で、駆除したとしても高い効果は期待できないのです。一方、業者がおこなう駆除作業は、プロの技術を使用するのでより確実な効果が期待できるでしょう。
また、ご自分で駆除をするときに心配なのが、安全面です。例えば、薬剤を使用する場合、小さなお子さまやペットのいる家庭では、薬剤が健康に悪影響を及ぼさないかが心配になりますよね。そうした薬剤の健康への影響も、業者であればしっかりと配慮してくれるので安心です。
さらに、衣類などへ熱を加えたり寝具へトラップを使用したりする駆除方法を個人でおこなうときには、それなりの知識が必要になります。そんなときも知識をもった業者であれば、安心して駆除作業をお任せできますよね。
・放置しておくと大発生するかも……
「トコジラミの気配は感じるけれど、放っておけばそのうちいなくなるだろう……。」そのような考えは、大きな被害をまねくおそれがあり危険です。トコジラミは、集団で生息しています。そんなトコジラミの存在を放置すると、はじめはよくてもそのうち手が及ばないほどの被害に拡大するおそれがあるのです。
繁殖力の強いトコジラミは「一匹いたら見えないところにたくさん潜んでいる」という認識で、早急に駆除することをおすすめします。
▼まとめ
トコジラミの被害は、かゆみなどの健康面だけでなく宿泊施設の経営面までにも影響を与えるおそれがあるので注意が必要です。そんなトコジラミの駆除には薬剤を使用したり熱を加えたりする方法、寝具などへトコジラミが侵入するのを防ぐトラップを使う方法があります。
しかし、強い繁殖力と生命力をもったトコジラミは、容易に駆除できるものではありません。なかなか駆除できないトコジラミをより確実に駆除したいときには、業者へ駆除を依頼することを検討してみてください。
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