車に乗って出かけようとしたときに「車のエンジンがかからない」という事態に陥ってしまったら、まずは落ち着いてエンジンがかからない原因を調べましょう。
車のエンジンがかからなくなる原因はさまざまなものがあり、なかにはレバーの操作ミス程度の単純なことで動かなくなっていることもあるのです。
この記事では、車のエンジンがかからなくなるおもな原因9つと、自力で解決できる軽度のトラブルの対処法、自力での解決が難しい場合の対処法について解説します。
ご自身の車の状態を冷静に調査して、正しい対処法で車のエンジンがかかるように直しましょう。
車のエンジンがかからない9つの原因
車のエンジンがかからなくなるおもな原因は9つあり、自力で簡単に解決できる場合とプロに修理を依頼するべき場合があります。
ここでは、エンジンがかからないときに車に何が起こっているのか、自分での解決ができるものかどうかを解説します。ご自身の車の状態と照らし合わせて確認してみましょう。
ガソリンは入っているか
鍵を回しても車のエンジンがかからないときは、まず運転席のスピードメーター近くにあるガソリンを補給する機器のマークをチェックしましょう。
そのマークが点灯していたらガソリンが切れている証拠です。ガソリン車の場合、ガソリンを燃焼させてエンジンを動かしています。そのため、給油忘れでガソリンがなくなっていると、エンジンが動かなくなってしまうのです。
・自分で近くのガソリンスタンドまで車を押して移動させる
また、ガソリンは3か月~半年ほど放置しておくと、酸化したり揮発成分が抜けたりして劣化します。劣化したガソリンは、補給が十分だとしても燃焼しにくくなり、エンジンがかからないことがあります。購入してから3ヶ月以上経過しているガソリンは使用しない方がよいでしょう。
ギアが「P」か「N」になっているか
車はブレーキを踏んだまま、ギアをパーキングかニュートラルにいれた状態にしないと、エンジンがかからない仕組みになっています。
このとき、MT車の場合はエンジンをかけるときに、ブレーキペダルだけでなくクラッチペダルも踏んでおく必要があります。ブレーキペダルとクラッチペダルの両方を踏んでおくことを忘れないようにしてください。
「ハンドルロック」の状態になっていないか
AT車、MT車ともにハンドルロックの状態になっているとエンジンがかからなくなります。ハンドルロックは盗難や車に何か異常が起きたときのために備わっている機能です。
エンジンがかかっていない状態でハンドルを動かすことで、強制的にハンドルロックがかかる仕組みになっています。ハンドルロック状態になっていると、ハンドルを動かすこともキーを回すこともできなくなるのです。
また、スマートキーなどで鍵を差し込まないタイプの車を利用している方もいるでしょう。その場合は、エンジンスタートボタンを押しながらハンドルを回すことで解除できるようになっています。
スマートキーが電池切れになっていないか
スマートキーの電池切れでも車のエンジンはかからなくなってしまいます。スマートキーをお使いの方は、スマートキーの電池が切れていないかどうかも確認しておきましょう。
電池が切れているのかどうかは、ドアのロック機能が働くかどうかを確認すれば簡単に判断することができます。スマートキーのドアロックのボタンを押してみて、作動しないようであれば電池切れの可能性が高いです。
スパークプラグの劣化
スパークプラグは、ガソリンと空気を混ぜた気体に火をつけるためのパーツで、エンジンのなかに組み込まれています。劣化したりたくさんのガソリンが付着したりすると、火がつきにくくなりエンジンがかからなくなることがあるのです。
スパークプラグが劣化しているかどうかは、目視で確認することができます。車のボンネットを開けて、エンジンのプラグカバーを外してみましょう。
プラグカバーを外してその中の部品も取り外していくと、スパークプラグがあります。スパークプラグの電極部がすり減っていたり、オイルなどが付着していたりすれば劣化している可能性が高いです。
ただし、セルモーターを回す時間が長すぎるとバッテリーが上がるおそれがあるため、回す時間は1回あたり数秒が目安です。
上記の対処法でエンジンがかからない場合は、スパークプラグを新しいものに交換する必要があります。ディーラーや整備工場で交換してもらうことができますので、お近くの店舗まで連絡してみてください。
ヒューズの断線
ヒューズとは、漏電や大量の電流からほかの電気部品を守るための電子部品です。ヒューズが破損するとモーターセルが回らず、エンジンがかからない場合があります。
ヒューズはヒューズボックスのなかにあるのですが、ヒューズボックスの場所は車種によって異なります。
一般的には運転席の右下か運転席側のドアの下にあるでしょう。取扱説明書を読むなどして探し出し、ヒューズボックスを見つけたらフタの裏を見てください。
そこに各電装品とそれに対応するヒューズの種類がかかれていますので、それを参考にしてエンジンに関係するヒューズをペンチなどで抜きます。抜いたヒューズが切れていれば、ヒューズが原因でエンジンが動かない可能性が高いです。
セルモーターの故障
セルモーターはエンジンを始動させるためのモーターのことです。セルモーターが正常なときはエンジンをかけるとキュルキュルという音がなります。このような音がしない、または聞き慣れない変な音がするときは故障している可能性が高いです。
なお、セルモーターは一般的に走行距離約10万~15万kmで寿命を迎えるといわれています。長く愛用していると、寿命を迎えて故障することもあるので、覚えておきましょう。
バッテリーの異常
バッテリーに異常があるときもエンジンがかかりません。バッテリーに異常がある原因としては以下のものがありますので、エンジンがかからないときは、順に確認してみてください。
1.バッテリーが上がっている
車のヘッドライトや室内灯の消し忘れなどのうっかりミスや寿命がきていることが原因でバッテリーが上がっていると、エンジンはかかりません。スイッチをいれてもパワーウインドウが動かなければバッテリーが上がっていることが考えられます。
2.気温が低すぎる
室内灯の消し忘れもなくバッテリーを新しいものに交換したばかりなのにエンジンがかからないときは、気温が原因かもしれません。
雪が降っているときなど外の気温が低すぎる場合、バッテリーが正常に放電することができなくなり、エンジンがかからないことがあるのです。
3.バッテリー液の量が足りない
気温が低くないのであれば、次に発電に十分な量のバッテリー液がバッテリーのなかに入っているか、バッテリーの側面で確認しましょう。確認方法は以下の通りです。
・「LOWER LEVEL」の線を下回っていればバッテリー液不足
・「UPPER LEVEL」を超えるとバッテリー液が漏れて車両を傷めるおそれがある
4.バッテリーが接触不良を起こしている
先ほど少し触れましたが、バッテリー液を入れすぎるとバッテリー液が漏れてバッテリーの上のところにあるターミナルという突起部分を腐食させることがあります。
この腐食は経年劣化によっても起こり、腐食すると接触不良を起こしバッテリーから電気が流れにくくなり、エンジンがかからなくなるのです。
・気温の低さが原因なら、5分おきにエンジンをかけて少しずつバッテリーを温めるようにしましょう。
・バッテリー液が足りないのなら、バッテリー液を適正の量まで補充してください。
・ターミナルの腐食による接触不良の場合は、業者に修理してもらう必要がります。
オルタネーターの故障
オルタネーターは、車で発電機の役割をしている部品です。通常はエンジン駆動を利用してライトなどの電装品やバッテリーに蓄える電気を作り出しています。
簡単に故障するものではありませんが、走行距離約20万kmで寿命を迎えるといわれています。また、走行距離が短くてもオルタネーターが中古の場合や車の使用状況によっては故障することがあるようです。
故障すると異音がすることがあります。エンジンをかけようとする際に聞き慣れない音が聞こえてきたらオルタネーターの故障を疑ったほうがよいかもしれません。
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車から聞こえる音で原因が判断できるかも!
先ほどセルモーターが故障したサインとして少し登場しましたが、車のエンジンがかからなくなった原因は、音で判断することができる場合があるのです。
ここでは、4つの音とそれにともなう症状をご紹介します。聞こえた音をよく思い出して原因調査の参考にしてください。
「カチカチ」「ガガガ」という音
「カチカチ」「ガガガ」という音が聞こえた場合は、バッテリー上がりが原因でエンジンがかからなくなっていると考えられます。
通常エンジンをかけようとすると、セルモーターが回るキュルキュルという音がしてエンジンがかかります。
しかし、バッテリーが上がっていると、エンジンをかけるのに必要な電力が供給されないので、セルモーターを回したいのに回せない状態になるのです。バッテリーの充電もしくは交換をおこなってエンジンをかけ直してみましょう。
「キュルキュル」という音
「キュルキュル」という音はセルモーターが回る音です。この音が聞こえる場合は、セルモーターが動く条件は満たされているということがわかります。
この場合は、スパークプラグの劣化によってエンジンがかからない状態になっている可能性が高いです。業者に交換を依頼する必要があるでしょう。
「カタカタ」という音
「カタカタ」という音がした場合は、ベルトの不具合が原因でエンジンがかからないのかもしれません。
ベルトとは、エンジンを動かす際に発生する力をほかの部品に伝えるための部品のことをいいます。オルタネーターなど車を動かすための重要な部品にもつながっているので、ベルトに不具合があるとエンジンがかからなくなることがあるのです。
ベルトには複数の種類があるため、正しく修理ができなければまたすぐにエンジントラブルが起こるおそれがあります。素人に直せるものではないので、業者に連絡して修理してもらいましょう。
エンジンをかけても音がしない
エンジンをかけようとしても部品が動くような音すら聞こえないこともあります。その場合は、セルモーターの故障かバッテリー上がりが起こっているかもしれません。
まずはどちらのトラブルがはっきりさせておきたいので、クラクションを鳴らしてみましょう。クラクションも鳴らなかったり、鳴っても音が小さかったりする場合は、バッテリー上がりが原因でしょう。バッテリーの充電や交換をおこなえば解決できるはずです。
クラクションの音が正常な場合はセルモーターの故障が原因である可能性が高いので、業者に修理を依頼しましょう。
【バッテリー上がり】自分で直せる3つの方法
ここまでにご紹介したように、車のエンジンがかからない原因は複数あります。ただし、そのなかでバッテリー上がりが原因だった場合は、自力で対処できる可能性があるのです。
バッテリー上がりの対処法は3種類あるので、それぞれ必要なものと対処の際の手順について解説します。
車が2台あるときは「ブースターケーブル」が使える
バッテリーが上がった車の近くに、バッテリーが正常な車、救援車があればブースターケーブルを使ってバッテリー上がりを解決することができます。
ブースターケーブルとは、先端がクリップ状になっている赤と黒のケーブルです。以下の手順で使用します。
2.ケーブルの赤いほうを救援車のプラス端子につなぐ
3.ケーブルの黒いほうを救援車のマイナス端子につなぐ
4.ケーブルの黒いほうをバッテリーが上がった車のエンジンブロックにつなぐ
5.救援車のエンジンをかけ、その約1分後にバッテリーが上がった車のエンジンをかける
6.エンジンがかかったら、バッテリーが上がっていた車を約1時間走行させ、充電する
車はエンジンを回転させることによって発電し、エンジンを回転させればさせるほど発電量が増加します。そして、消費する電力を上回る量を発電するとバッテリーに充電されるという仕組みになっているのです。バッテリーが上がっていた車を約1時間走行させるのは、そういった理由があります。
また、手順4でケーブルの黒いほうをプラス端子ではなく、エンジンブロックにつなぐのは、ショートを防ぐためです。
プラス端子につなぐと、エンジンをかけたときに救援車からバッテリーが上がった車に大きな電流が流れてショートし、火花がでるおそれがあります。その火花がバッテリーのガスに引火すると爆発する危険性もあるので、必ずつなぐ手順を守りましょう。
ただし、ハイブリッド車は救援車として利用することができません。ハイブリッド車を使うと、大きな電流が流れて、ハイブリッド車の電源系統などが故障するおそれがあるのです。救援車には必ずエンジン車を利用するよう注意しましょう。
ジャンプスターターを活用
ジャンプスターターとは、バッテリーが上がったときにバッテリーに電気を供給してエンジンをかけるためのツールです。
とてもコンパクトで持ち運びが可能ですので、いざというときのために1台持っておくとよいでしょう。ジャンプスターターをバッテリーにつなぐ手順は次の通りです。
2.バッテリーのマイナス端子にジャンプスターターの黒のケーブルをつなぐ
3.青色のコネクターをジャンプスターターの本体につなぐ
4.エンジンをかけ、1~3とは逆の手順で外す
ブースターケーブルを使用する方法と同様に、エンジンをかけたら車を1時間ほど走行させて、バッテリーに電気を充電しましょう。
バッテリーを丸ごと交換
バッテリーには寿命があります。バッテリーの平均的な寿命は約3年です。そのため、バッテリーを購入して取り付けてから3年近く経過しているのであれば、丸ごと交換したほうがよいでしょう。
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自分で直せないときに頼れるところ
自力でできる3つの対処方法を自分で実践する自信のない方や、必要な道具がなく現状では実行するのが難しい方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、ロードサービス、自動車修理工場、車修理専門の業者などに依頼しましょう。
ただ、修理が高額の場合にロードサービスを利用すると保険の等級が下がる場合がありますので、注意してください。
引き取る場合の料金を安くしてくれたり、レッカー車を用意して工場まで運んでくれたりすることもあります。
バッテリー上がりが原因でエンジンが動かないときは、弊社に加盟する業者でも対応することができます。弊社に加盟する業者は全国に多数ありますので、遠方でも対応することができます。バッテリーが上がってお困りの方は、ぜひお電話ください。
日常的にやっておきたいメンテナンス
車のエンジンがかからないというトラブルは突然起こるものでしょう。しかし、日ごろからおこなうメンテナンスで防げることもあるのです。以下の4点にとくに注目して点検しましょう。
・エンジンオイルをどのくらい使用しているか
・バッテリー液の量
・バッテリーをどのくらい使用しているか
エンジンオイルは、トラブルなしに使用していても徐々に減っていきます。しかし、あまり少なくなり過ぎるとエンジンがかからないなどのトラブルが発生するリスクが高くなるのです。オイルが枯渇する前に補充しておくようにしましょう。
そして、当然ですが使えば使うほど劣化します。3ヶ月使い続けたものや4,000km~5,000km走行したものは交換が必要なので、ディーラーにいって交換してもらいましょう。
また、バッテリー液も量が多すぎたり少なすぎたりするとトラブルの原因になります。前述したバッテリーの平均寿命である3年以上使用しているものも、トラブルを引き起こすおそれがあるでしょう。
上記のようなことは、定期的にディーラーで点検をおこなえば、トラブルが発生する前にリスクに気付くことができるので、適切な対処が可能です。
「ディーラーへの依頼が面倒」という方がいるかもしれませんが、素人ではわからない変化もあるかもしれません。なるべくプロの目で定期的なメンテナンスをおこなうことをおすすめします。