【危険】イエシロアリの知らないとヤバい生態・巣・駆除方法を解説

「イエシロアリってどんなシロアリ？」
「すぐに駆除したほうがいいの？」

日本の家屋に被害をもたらす代表的なシロアリといえば、「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。

特に、イエシロアリの加害スピードは早く、建物に大きな被害を与えるシロアリとして有名です。

イエシロアリは、その被害の深刻さから、国際自然保護連合から世界の侵略的外来生物種ワースト100※にも指定されています。

出典：「第３回自然環境保全基礎調査植生調査報告書」(環境省生物多様性センター) (https://www.biodic.go.jp/biodiversity/activity/policy/kyosei/23-1/files/1-10-2.pdf)

この記事では、そのような世界でも危険視されている、イエシロアリの生態や被害、駆除方法などを詳しく解説しています。

この記事を読めば、イエシロアリが危険だといわれている理由がよくわかり、早急に対処することで、これ以上被害が広がるのを防ぐことができますよ。

イエシロアリの見た目と生態

まず、イエシロアリとはどのようなシロアリなのか、詳しい生態をご紹介します。

この章では、イエシロアリに似ている「ヤマトシロアリ」と比較しながら、順番に解説していきます。

羽アリと兵隊アリの特徴

シロアリの種類を見分けるうえでわかりやすいのが、「羽アリ」と「兵隊アリ」です。

シロアリは普段は隠れて生活しているため、なかなか人前に姿を見せません。

しかし、巣が大きくなると、一部のシロアリが羽アリとなり、巣を広げるために飛び立ちます。
この羽アリの出現で、シロアリの存在に気付く人は多いはずです。

イエシロアリの羽アリは、以下のような見た目の特徴をもちます。

全体的に茶色だったら、イエシロアリの羽アリの可能性が高いでしょう。

また、シロアリの種類を見分けるうえでわかりやすいのが、兵隊アリです。

兵隊アリは、シロアリの巣を防衛する役割があるため、巣や蟻道（ぎどう・シロアリの通り道）を壊すと、中から出てくることがあります。

イエシロアリの兵隊アリは、以下のような見た目をしています。

兵隊アリの頭部が卵型であれば、イエシロアリの可能性が高いでしょう。

このように、イエシロアリは、「羽アリ」と「兵隊アリ」の見た目で、ヤマトシロアリと見分けることができます。

階級によって役割が異なる

シロアリは、集団で生活（社会性昆虫）をしており、それぞれ以下の役割をもっています。

※上記はヤマトシロアリのライフサイクル

階級	役割
女王と王	交尾・産卵によって子孫を増やす。
羽アリ (第一次生殖虫)	決まった時期にニンフが羽アリとなり、群れで飛び出してオスとメスがつがい、新しい女王・王となって巣を作る。
副女王と副王 (第二次生殖虫)	女王や王が死んだときのかわりになる。
ニンフ	卵と幼虫の世話。成長すると、羽アリか副女王と副王になる。
兵隊アリ	外敵からの防衛をおこなう。
働きアリ(職蟻)	巣や蟻道を作り、修理・清掃する他、餌の採取、他階級の世話などをおこなう。

イエシロアリやヤマトシロアリも、このような集団で生活をしています。

千葉県以西の温暖な地域に生息

イエシロアリは、おもに千葉県以西の温暖な地域に生息しています。

イエシロアリは、温暖な沖縄、九州、四国、瀬戸内に生息していることが多いです。

一方、ヤマトシロアリは、ほぼ日本全国に生息しています。

シロアリ110番では、シロアリの活動が活発になる4月～9月の時期に、今どの地域にシロアリが多く発生しているのかを確認できる「シロアリ発生指数」を公表しています。

「シロアリの羽アリかも？」と思ったら、お住まいの地域のシロアリ発生状況を確認してみてください。

6月～7月の夜間に羽アリが出現する

イエシロアリの羽アリは、6月〜7月の夜間に一斉に飛び立ちます。

羽アリが発生する時間帯を詳しく調査するために、過去にシロアリ110番にご相談いただいた件数（それぞれの羽アリ発生時期）を時間帯別に比較してみました。

その結果が、以下のグラフです。

グラフを見ると、イエシロアリに関するご相談は20時～23時の夜間に集中していることがわかります。

一方、ヤマトシロアリは6時から徐々に増え、8時～9時にピークを迎えています。

これらのデータから見ても、イエシロアリは夜間に発生しやすいと考えてよいでしょう。

6月〜7月の夜間にシロアリの羽アリを見かけたら、イエシロアリを疑ってください。

巣は大きいものだと100万匹にも達する

イエシロアリは、土や壁の中に大きな巣を作ります。

イエシロアリの巣は、本巣と分巣に分かれているのが特徴です。
本巣が大きくなると、本巣から蟻道を伸ばし、分巣をいくつも作ります。

イエシロアリの巣は、1つの集団で数十万匹～、大きいものだと100万匹にも達します。

イエシロアリは水を運ぶ能力があるため、乾燥した木材を湿らしながら加害できてしまいます。

そのため、おもに湿った床下を中心に加害するヤマトシロアリと異なり、建物全体に被害を広げてしまう特徴があります。

Q.ヤマトシロアリとイエシロアリの特徴、とくに加害習性を教えて下さい

A.ヤマトシロアリは特別 に加工した塊状の巣はつくらず、加害箇所が巣をかねており、適当な生活場所と餌を求めて集団で移動する習性があります。 とくに湿潤なところを好みますので、湿った木材や土中で生活していることが多く、主に建物下部を加害します。被害は腐朽と同時に起こることが多く、食痕は 多湿で汚ないです。

イエシロアリは建物や土中に塊状の大きな巣をつくり、普通 数十万匹、大きいものでは100万匹にも達します。加害速度も速く、被害は激烈です。建物の乾燥した木材でも水を運んできて湿しながら加害しますので、被害は建物全体に及びます。食痕は乾燥しており、きれいです。

出典：公益社団法人日本しろあり対策協会｜よくある質問（最終閲覧日：2024年3月15日）

「イエシロアリの羽アリかも？」と思ったら、まずは調査を依頼しましょう。

シロアリ110番では、シロアリの調査や駆除がおこなえる業者を多数ご紹介しています。

お電話でのご相談は、24時間365日受け付けていますので、夜間でもお気軽にご相談ください。

イエシロアリは短期間で大きな被害をもたらす

イエシロアリは、短期間に大きな被害をもたらします。

イエシロアリはの食害スピードはとても早く、体重の50分の1ほどの木材を1日で食べるといわれています。

仮に、100万匹いる巣があるとしましょう。

イエシロアリの体重は3.5mgほどなので、
3.5（mg）÷50×100万匹＝7万（mg）
となり、1日に70g木材を消費する計算になります。

これを1年間放置し続けると、
70g×365日＝2万5550g
で、1年間で約25.5kg消費する計算になります。

25.5kgは、10cm断面の3mのスギの柱3本弱に相当します。

つまり、100万匹いるイエシロアリの巣がある場合、1年間でスギの柱（10cm断面の3m）を3本弱消費してしまうというわけです。

ちなみに、ヤマトシロアリの場合は、1年間で柱1本弱消費するといわれています。

このように、イエシロアリは短期間で建物に大きな被害をもたらす、危険なシロアリなのです。

参考文献
木質科学研究所木悠会．木材なんでも小事典．講談社，2001

イエシロアリの駆除のコツは巣全体の把握と破壊

イエシロアリを駆除するには、巣全体を把握し、破壊することが大切です。

イエシロアリの巣は、本巣と分巣に分かれています。

分巣は、天井裏や壁内などに作られることが多く、大きさはバレーボール4、5個分くらいです。

しかし、分巣をいくら駆除しても、本巣を駆除しないことには被害を止めることができません。

本巣にいる女王アリを駆除できないと、子供を産み続けてしまいます。

そのため、イエシロアリの駆除は、本巣を壊すことがとても大切です。

ただし本巣を見つけるのはプロでも難しい

ただし、イエシロアリの本巣を見つけるのは難しいです。

イエシロアリの本巣は、基本的に地中や壁の中にあります。

しかし、イエシロアリの行動範囲は広く、最大半径100mにもおよぶため、数軒の家を同時に加害していることもあります。

このように、イエシロアリは行動範囲が広く、本巣を特定するのが非常に難しいです。

イエシロアリの駆除はベイト工法がメイン

では、イエシロアリはどのようにして駆除をおこなうのでしょうか。

プロは、一般的に「ベイト工法」と呼ばれる工法でイエシロアリを駆除します。

ベイト工法は、家の周りに毒餌（ベイト剤）を一定間隔に設置し、巣に持ち帰らせて駆除する施工方法です。

イエシロアリが毒餌を運ぶため、本巣の場所がわからなくても駆除できます。

シロアリ用の毒餌は家庭用の商品も販売されていますが、プロが使用する薬剤に比べて効果が薄いです。
また、知識がないと適切な場所に埋めることができないため、おすすめしません。

イエシロアリの駆除は、経験豊富なプロのシロアリ駆除業者に任せましょう。

高い場所に被害がある場合はイエシロアリの可能性が高い

イエシロアリの被害かどうかわからない場合は、被害箇所の高さを確認しましょう。

高い場所に被害がある場合は、イエシロアリの可能性が高いです。

ヤマトシロアリは、床下の湿った木材を中心に加害するため、被害が高い場所に出ることは少ないです。

一方、イエシロアリは水を運ぶ能力があるため、乾いた木材を加害し、高い場所までのぼってくる習性があります。

自分の背丈以上の高さに被害がある場合は、イエシロアリを疑いましょう。
特に、2階以上にまで被害があがってきていたら、イエシロアリの可能性が高いです。

ただし、雨漏りしている場合は、木材が水を含むため、ヤマトシロアリでも高い場所にあがってくることがあります。

そのような場合は、ヤマトシロアリの可能性も考えられるでしょう。

イエシロアリの被害は早急にプロに相談するのが吉

イエシロアリの被害に気付いたら、早急にプロに相談するのがおすすめです。

イエシロアリの被害は、早期発見・早期駆除がとても大切です。

被害が深刻になれば、イエシロアリの駆除費用だけでなく、柱の補修などの修繕費用もかかってしまいます。

そのため、できるだけ早くプロに相談するようにしましょう。

しかし、シロアリ駆除は費用が高くなりそうなイメージがありますよね。

そこで、この章では、シロアリ駆除の費用相場と納得のいく業者の選び方をご紹介します。

シロアリ駆除の費用相場

シロアリ駆除費用は、大体いくらぐらいかかるのでしょうか。

過去に弊社にご相談いただいたシロアリ駆除の費用を調査したところ、平均金額は、184,231円でした。

集計期間：2023年1月1日～2023年12月31日（1,801件）
集計対象：弊社運営サイト全体におけるシロアリ駆除および予防の施工実績
集計方法：対象の平均値を算出※し、小数点以下を四捨五入
※大規模な施工など特殊なケースを除く費用の平均値を算出するため、上下2.5％の施工費用を異常値として集計対象から除外しています。
※価格はすべて税込価格です。

ただし、この調査結果は、シロアリ全体の駆除費用の相場です。
イエシロアリの場合、駆除費用に変動はあるのでしょうか。

シロアリ駆除業者12社に、シロアリの種類によって駆除費用に差が出るのか聞きいてみたところ、「費用に差は出ない」と答えた人が大半でした。

しかし、一部の業者では以下のように費用が高くなるところもあるようでした。

より正確な費用を知りたい方は、見積りを取ってみることをおすすめします。

シロアリ110番では、現地調査・見積りを無料※でおこなっている業者をご紹介しています。

※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。

お見積りを取る際は、ぜひシロアリ110番にご相談ください。

シロアリ駆除業者を選ぶポイント

シロアリ駆除は、全国展開の業者だけでなく、地域密着型業者、ホームセンターなどにも依頼できます。

「どの業者がいいのかわからない」という方は、以下のポイントを参考に選ぶことをおすすめします。

シロアリ駆除業者は、公益社団法人日本しろあり対策協会に加盟している業者（以下「日本しろあり対策協会」）だと安心です。

日本しろあり対策協会は、簡単にいうと、木造建築物のシロアリ被害を防止する目的で結成された団体です。

日本しろあり対策協会に加盟している業者であれば、協会指定の工法、薬剤で施工してくれます。

また、業者を選ぶときは、保証が充実している業者を選ぶとよいでしょう。

シロアリ駆除の保証には、「再施工保証」と「修復補償」があります。

「修復補償」はつけていない業者もいるため、ついている業者だと、なお安心です。

シロアリ駆除業者の選び方は、以下の「シロアリ駆除の依頼先と選び方」の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

イエシロアリの被害を予防する方法

イエシロアリの被害を受けないためには、今後どのように予防したらよいのでしょうか。

イエシロアリを予防するには、5年ごとにシロアリ予防の薬剤を撒くことと、庭に餌になるものを置かないことが大切です。

その理由を順番にご説明します。

5年ごとにシロアリ予防の薬剤を撒く

イエシロアリの被害を予防するには、5年ごとにシロアリ予防の薬剤を散布するのが効果的です。

シロアリは、基本的に地中を移動し、床下から侵入します。

シロアリの侵入口である床下の土壌や木材に、シロアリ予防の薬剤を散布することで、シロアリの侵入を防げます。

シロアリ予防の薬剤の効果は5年でなくなるため、薬剤散布は5年ごとにおこないましょう。

庭に餌になるものを置かない

庭には、イエシロアリの餌になるようなものは置かないようにしましょう。

ウッドフェンスなどの木製品を直接地面に設置していると、シロアリ被害が発生するおそれがあります。

また、プランターや植木鉢も、地面に置いているとシロアリが侵入するおそれがあります。

特に、イエシロアリの被害が近くに発生している場合、地面に木があると寄せ餌の役割を果たしてしまいます。

プランターや植木鉢は、コンクリートの上に置いて、シロアリを寄せ付けないようにしましょう。

イエシロアリに関するよくある質問

ここからは、イエシロアリに関する、よくある質問にお答えします。

Q:イエシロアリは自分で駆除できる？

A.自分で駆除することはおすすめしません。

イエシロアリの繁殖スピードは早く、本巣にいる女王アリが駆除できないと、どんどん数が増えてしまいます。

イエシロアリの駆除に慣れていないと、女王アリまで駆除することは難しいでしょう。
被害を抑えることができないため、イエシロアリの駆除はプロに任せましょう。

Q:イエシロアリの人への直接的な被害はある？

A.イエシロアリの兵隊アリは噛みつくおそれがあります。

イエシロアリの兵隊アリは攻撃的で、蟻道を壊されると、集団で出てきます。

イエシロアリの兵隊アリは、相手に噛みつき、額から乳液状の防御液を分泌します。
噛まれてもあまり痛くはないですが、大量に噛まれたり、体質が敏感だったりすると、発熱などの症状が出る場合があります。

参考文献
神谷 忠弘．これで安心！シロアリ対策．エクスナレッジ，2010

Q:イエシロアリが外にいる分には問題ない？

A.外にいても家が被害を受けているおそれがあります。

イエシロアリが外にいる場合、すでに地中に巣が作られているおそれがあります。

イエシロアリの行動範囲は広く、家の外に作った巣からやってくることは十分ありえるため、イエシロアリを見つけたら調査を依頼しましょう。

まとめ

イエシロアリは、建物に大きな被害を与えるシロアリです。

見た目が似ているヤマトシロアリとは、「羽アリ」と「兵隊アリ」の見た目で見分けることができます。

また、以下の羽アリの発生時期や生息地域も、見分ける判断材料になります。

イエシロアリは、土や壁の中に大きな巣を作ります。
本巣が大きくなると、蟻道（シロアリの通り道）を伸ばし、分巣をいくつも作ります。

イエシロアリを駆除するには、本巣にいる女王アリを駆除しなければなりません。

しかし、本巣の特定はプロでも難しいです。
そのため、イエシロアリの駆除は、毒餌を巣に持ち帰らせて巣ごと駆除する、ベイト工法が採用されることが多いです。

イエシロアリの加害スピードは早いため、「イエシロアリかも？」と思ったら、被害が大きくなる前に調査を依頼しましょう。

シロアリ110番では、シロアリ駆除業者をご紹介しています。
業者選びで迷ったら、お気軽にご相談ください。